空の街

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目が覚めたら家のベッドで寝ていた


頭はガンガンするし、腫れた目で視界はほとんど無い。
また思い出せばすぐにでも泣きそうで起き上った


「っ頭いた…、」


「あ、起きた。はい」


声に顔を上げれば須藤が水を差し出した



「………何やってるの…」


「水飲んで」


「……」



一気に喉をならして飲み干せば
体中にしみわたる気がした


「朝飯出来てるんで」

「いや、いやいやいや何でいるの？」

「昨日酔い潰れたの送ってきました」

「で？」

「終電なくなったんでソファ借りました」

「……」

「目玉焼き何かける人すか？」


記憶は途中まである。
何杯目かのビールを飲んで、訳もわからず色んな事を
ぶつけていた。泣いて喚いてやつ当たって、叩いて…


「昨日ごめん…、大丈夫だった…、？」

「何が？」

「……、」


目玉焼きとご飯と、ベーコンとサラダは多分コンビニで
買ってきたんだろう。コーンスープとフルーツまで出て
きたら何だか接待されてる気がしてきて笑えてきた


「豪華すぎない？」

「朝飯が一番大事なんすよ。醤油？」

「…塩胡椒」

「ん。とりあえずスープで胃あっためて」


言われて飲めば、久しぶりに食事をした気がした
昨日だってビールしか飲んでない

いや…えだ豆とチーズ無理矢理口に入れられた気がする



向かいでもぐもぐバクバク食べる須藤は
ほっぺをいっぱいに膨らませていてリスみたい

つられるみたいに一口ご飯を入れれば
あったかくて美味しくて、


「…っ、」


また腫れた目がじんわり熱くなって、


「俺の事使ってくらはい」

「……、？」

「時間経つまれ」

「なに…？」


顔をあげれば牛乳をゴッゴッと喉を鳴らして飲み込んだ
須藤は空っぽのコップを置いた


「傷癒えるまで好きに使って下さい。こーゆーのって結局は時間じゃないすか。でも時間経つまでしんどいでしょ？だからその間」

「何訳わかんない事言ってんの…」

「もちろん擬似でですけど」

「だから訳わかんない、そもそもそんなの須藤に何の…」

「俺も恋愛リハビリ中なんで丁度いいかなって」

「そうなの…？」

「そういうのって異性の友達と遊ぶだけで満たされたり
するものってありません？俺もだし」

「……。…使うって？」

「遊んだり飯食ったり」

「だけ？」

「だけ」

「それで埋まるの？」

「誰かと何かしてる時って余計な事考えないでしょ」

「それ…楽しいの？」

「楽しくなくてもいいんすよ」

「……」

「どこ行きます？」

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