Aぇの紅一点神出鬼没のお姫さまⅡ (ページ16)

今日:285 hit、昨日:171 hit、合計:29,556 hit

妹離れ - suezawa ページ16

( 末澤誠也 side )

末澤「実際どーなん」

雑誌の控室。
それぞれペアで撮ることになり現在は正門と小島が撮影をしている。
先に終わった佐野とリチャはそうそうに帰っていった。
そのため控室には俺とりりの二人。俺の言葉に何かの参考書から顔を上げたりりはきょとんとした目をこっちに向ける。
ローテーブルを挟んで向かい合うソファに座った俺たちの間に、謎の空気が流れた。

『どーなんとは？』

末澤「正門と」

『え、誠也くんが恋バナしたがるとかめずらしいですね』

末澤「恋バナってほどのもんじゃないやろ」

『誠也くんの恋バナが聞けるなら話しますわ』

末澤「ないわ、そんなもん」

『ないことないでしょ。私、Ａぇの中なら１番誠也くんが彼女いそうと思ってる』

末澤「なんでやねん」

『なんで……？なんとなく？』

末澤「おらんわ、彼女なんて」

『そーなんですね』

興味があるのかないのか、あえてツッコんでこないのかりりは再び参考書に視線を落とす。

『正門とは普通です。特には変わらず』

末澤「やりずらいこととかないん？」

『え、下ネタ？』

末澤「ちゃうわ。メンバーのそんな事情聞きたないわ」

ケラケラとりりが笑った。

『嫌ですねー。私も晶哉の夜事情とか話されたらめっちゃ気まずい。知りたくない』

末澤「やろうな」

『誠也くんでギリ』

末澤「ギリってなんやねん」

『ギリはギリですよ。
……正門とは気まずいとか、付き合ったから仕事しずらいとかはないです。むしろ気持ち殺したりしなくて良くなったからのびのびできてるくらい。ファンの子にはこれから認めてもらわないといけないけど』

俺はエゴサとかせんから詳しくはわからんけど、マネージャーがここまでプラスの反応が多数派なのはびっっくりしたと言っていた。
それだけ、正門とりりの作り上げてきたものに信頼がファンの子たちもあるんだろう。

末澤「ならええけど。なんかあったら言いや」

『誠也くん、いつもありがとうございます』

視線が合って、無理をするでもなんでもなく自然に笑ったりりに安心すると同時に少しだけ寂しくなった。
妹に彼氏ができるってこうい感じなんやろなーと思ったら、ちょっとだけ正門にムカついた。