Aぇの紅一点神出鬼没のお姫さまⅡ (ページ10)

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好きじゃないけど大切 - nishihata/nagao/masakado ページ10

( 西畑大吾 side )

長尾「大吾くんってしろちゃんのこと好きだったこととかないんですか？」

ユーチューブの撮影待ちの時間。
メンバーそれぞれ好きに過ごしていたところで、急に長尾がそんなことを言い出した。
見ていたスマホから顔を上げると目があっておもちゃでも見つけたような顔をされる。

西畑「急に何よ」

長尾「大吾くんってしろちゃんと仲いいじゃないですか」

西畑「そうね」

長尾「正門くんもずっと一緒にいるのかもしれないですけど、それは大吾くんだって一緒やと思うんですよ」

西畑「同期やからなあ」

長尾「好きだったことないのかなって」

西畑「急に話飛んでるやん」

途中までは納得して相槌をうっていたのに、急に話が飛躍するから笑う。

西畑「ないなあ」

長尾「しろちゃんあんなに可愛いのにですか？」

西畑「可愛いとは思ってるけど、妹みたいな感じやし」

長尾「ほーん」

西畑「っていう話しをこないだしたんよ」

居酒屋の個室で、前に座るカップル二人に先日の長尾との会話を話すとしろは口を開けて笑い出した。

『ウケる！』

西畑「ウケるってなによ」

『大吾くんが私のこと好きとかありえなくてウケる』

しろはグラスからハイボールを飲んでもう一度笑う。

西畑「そりゃありえないでしょうよ。ずっと正門がしろのこと好きなの気付いてたんやし。ツレの好きな相手なんてわざわざいかんわ」

正門「え、そういう理由？」

西畑「逆にしろが正門のこと好きなんも気付いてたし」

『怖……っ、けど、大吾くんにはバレてる気がしてたよ』

西畑「君たちお互いに好きなのバレバレなのに諦めようとお互いしてて、俺と廉がやきもちしましたよ」

正門「すみませんでした」

『すみませんでした』

西畑「まあ、終わりよければ全て良しやな」

二人が並んでいるところなんて幾度となく見てきたけれど、納まるところに納まった感じがした。
空気が今までとほんの少しだけ違う感じ。
「何飲む？」と次の注文をしろに確認する正門の目が隠すこともなく愛おしそうでなんだか安心した。

好きだったことはないけれど、幸せになってほしいと思っていた二人がそうなったのだから嬉しい以外の何者でもない。